時を待つ心も必要
悪いときが過ぎれば良いときは必ず来る
おしなべて、事をなす人は必ず時の来るのを待つ
あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ
時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう
だが何もせず待つことは僥倖を待つに等しい
静に春を待つ桜は、一瞬の体力もなく力を蓄えている
たくわえられた力がなければ時が来ても事は成就しないだろう
各ビジネスパーソンに成果主義の思想が導入され、
また一年の決算でその経営の責任を問う傾向が強まった現代だが
一つの大きな問題がでてきた。
これまで、日本を大成功に導いた人々の多くを見れば
わかるように「時を待つ心」が必要なのだ
とくに、経済社会は大きな波でもって動く。
その上に個人の資産としてもじっくりと心を練り
ぶれない自分の生き方を確立した人こそが事をなす。
松下幸之助の人生を見ればよくわかる
(一時の責任しか負わない今の経営者が勝手に社名を【松下電器】
を変え横文字にしてしまったが、松下幸之助の名を社名に止め
「時を待つ心」の大切さを若い人たちに伝えていくことのほうが
どれだけ重要かわからないと思うのは私だけだろうか)
一年に一度の桜の花と香りをかぐ中で、日本人は世界一
「時を待つ」ことのできる民族をつくってきた
新渡戸稲造「武士道」は言う
「彼らは、その短い快楽が終われば、新しい力と新しい決心を
もって、日常の生活に戻っていくのである」
著者 松下幸之助